第一次世界大戦、
それはドイツ第2帝国の一人勝ちで終結した。
日英米は多くを失い、禍根を将来に残した。
そして1942年夏。
戦乱は再び大日本帝国を襲う。
博多湾に攻め来るは李氏朝鮮陸軍!
日本近海に忍び寄るはドイツ太平洋艦隊!
その旗艦〈シュリーフェン〉ブリッジで
不敵な笑みを浮かべるは
海軍大将アドルフ・ヒトラー!
だが日本にも、これを迎え撃つ秘策あり!
空母〈隼鷹〉艦長、鬼庭篤紀大佐は
鉄仮面の下に本心を隠したまま
秘策を巡らす……
大日本帝国はドイツ太平洋艦隊根拠地
真珠湾(ペルレ・ハーフェン)を
煉獄に変えた!
新世代の日独決戦、いま、ここに発進!
目次
プロローグ 防人の詩’42
第一章 鬼華遭遇
第二章 プロイェクトX
第三章 ビスマルク・ノート
第四章 真珠湾の悪夢
第五章 愚者の復讐戦
エピローグ 後継者 |
二水戦の練度から言えば、これは指呼の間だ。命中は確実だろう。
「先の見えぬ水雷屋めが。奴が死に神に召されない限り、帝国は滅亡の道を突き進むことになるぞ」
そんな呪詛の言葉が天に通じたのだろうか、頭を巡らし、退避運動に入っていた味方駆逐艦の一隻が、突然に火花を噴き上げた。
それは先頭を征く旗艦。つまりは〈雪風〉……。
(第1章より)
カミーユ・ヘッセン大尉は、博多湾動乱において、互いの祖国を戦乱に巻き込むまいと思案を巡らし、謀略の片棒を担いだ一件を思いだしていた。
あの時はうまくいった。多少の混乱はあり、追求もあったが、金と権力の力でそれをねじ伏せ、事実を隠蔽することに成功した。
だが、今回は違う。日本人は本気で一戦交えるつもりなのだ。愛するドイツとロシアの為に、なすべきことを成さねばならぬ場面なのだ。
(第4章より)
「見るがよい! 余の判断は正しかった!」
戦艦〈シュリーフェン〉のブリッジでヒトラー提督は興奮気味に叫んでいた。彼が指さす先には、黒き小山のような塊が四つほど蠢いている。
「あれは間違いなく東洋の劣等民族が乗り込んだフネに違いない。
艦長! 砲撃準備に入るが良かろう」
大将の言葉は真実だった。敵と見なして差し支えないその艦隊は、見事な単縦陣を形成し、〈シュリーフェン〉の方角へ疾駆してくる。
(第5章より) |
書下ろし長編仮想戦史
鉄鎖の太平洋
鈎十字、真珠湾席巻!
2003年5月16日ごろ発売予定。
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