帝国の聖戦3
疾風編
国際自衛隊1940〜42
予告編
戻ります


“世界枢軸” 
米独ソの共闘宣言に全世界は震撼した。

武力のドイツ、経済のアメリカ、頭数のソ連……。

ヒトラーは英国征服を夢見、
ルーズベルトは東南アジアに覇を唱えることを望み、
スターリンは日露戦争での失地回復に奔走する。

彼らを“悪の枢軸”と命名したISDFは
これに敢然と立ち向かう。

フランスで、英国本土で、
タイで、満州で、
アラスカで、そしてユトランド沖で……。

フランス降伏、
“緑の悪魔”英国を急襲!
倫敦陥落!?

ヨーロッパの野火は、遂にアジアに飛び火した! 
日ソ戦争の勃発! 赤い星が朝鮮半島を南下する。

そして惹起するは英独最終艦隊決戦。
ヒトラーが繰り出した
九万トン級・最終兵器戦艦の正体とは?

「帝国の聖戦3:疾風編」満を持しての登場!

ISDF
I
nternational Self Defence Force


「やれやれ。面倒なことになったぞ。あの艦はドイツ製だ。だが味方ではない。さりとて、英国海軍所属のフネというわけでもない。敵と断言して良いのかどうか、俺には判断ができない……。とにかく、今やるべきことは」
 ラムケ中佐は脱兎の勢いで立ち上がるや、背後に見えていた森へと駆け始めた。「逃げることだけだ。続け!」
 訳も判らずに、上官の後を追うクレッチマーは大声で尋ねた。
「あの戦艦は、いったい何物なのですか!」
 ラムケ親父は走りながら答えた。
「ほんの三年前まで、我が第三帝国に所属していた艦だ。名前はたしか〈ドイッチェラント〉。だが、オーストリア併合時のどさくさに紛れて接収されてしまったのだよ。
 国際連盟直属の国家超越軍事機関“国際自衛隊”と僭称する連中にな!」

(第1章より)


 逃がさぬ! ジェルジンスキーは心中でそう怒鳴るや、戦車から駆け下り、手振りで攻撃目標を指し示した。艦首側面である。七六・二ミリ戦車砲が今度は俯角を形成し、轟然と炎を放つ。
 如何に戦艦が重装甲といえども、艦全体に渉って分厚いアーマーで覆われているわけではない。艦首と艦尾、つまりヴァイタルパートと呼ばれる集中防御区画から外れている箇所の防御は、意外に薄いものなのだ。
 ジェルジンスキーが撃たせた弾は、一〇メートルと離れていない敵戦艦の艦首舷窓部分に命中した。名実ともに零距離射撃である。効果は抜群だ。そこには人独りがどうにか通過できる穴が開いた。
 戦場の興奮に身を委ねたイリヤ・ジェルジンスキーは、巨躯に似合わぬ跳躍力を見せ、その穴へと飛び移るや、迷うことなく体を強引にねじ込んだのである……。

(第4章より)


 ISDF艦隊司令・堀悌吉大将は手筈に則り、ドイツ艦隊に対し戦闘行為の即時中止を求める発光信号連絡を続け、交戦の意志はないと繰り返していたが、当然のようにこれは無視されていた。手加減や遠慮という単語を知らぬドイツ大海艦隊は、逆に反撃の砲火を繰り出してきたのである。
 旗艦〈リシュリュー〉の周囲に水柱が乱立した。最悪の事態を覚悟した久慈であったが、どうにか直撃弾だけは避けられたようだ。すぐに彼女に乗り込む堀提督から、力強い命令が寄せられたのである。
「命令入電。読みます」
織島通信長が全ての手筈を略し、いきなり電文を朗読した。
「“此ヨリISDF艦隊ハ、退避ト自衛ノ為、新タナル行動ニ移ル。全艦、我ニ続ケ”」

(第5章より) 

 

書下ろし架空戦記
 帝国の聖戦3
国際自衛隊1940〜42

2002年12月下旬発売予定。



戻ります