帝国の聖戦2
国際自衛隊1904〜41
予告編
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We are against ISDF

「我々は国際自衛隊に反対する!」

米・独・ソ―〈悪の枢軸〉が牙を剥く!

超国家平和維持軍〈国際自衛隊〉に最大の危機迫る。

仮想戦記の新境地、待望の第2巻、ここに発進!

ISDF
I
nternational Self Defence Force


 爾霊山堡塁。通称二〇三高地と呼ばれるその小山は、まさしくこの旅順にとっての要石である。過去における戦乱でも、それを落とした者が必ずや勝者の栄冠を勝ち取っているのだ。要塞都市西部を一望できる爾霊山を奪われることは、弾着観測が容易になるわけであり、制空権という要素が日替わりで変化するこの奇妙な戦線においては、それは取りも直さず、新市街全域が完全に敵の射程内に収められてしまうことを意味している。守勢一方だったモントゴメリーが奪回を命じたのも、無理からぬ話であった。
「第一次支援射撃、あと二分で終了します!」
 モントゴメリーの副官補佐ジョン・パイソン大佐が時計を見つめながら大声で怒鳴った。小柄な将軍とは対照的に、声に似つかわしい巨躯である大佐は、生真面目な表情のまま上官の反応を待つ。
「……〈プリンス・オブ・ウェールズ〉か。旅順湾港からの直接砲撃。ならばよもや狙いを違えている事もあるまい。
 よろしい。全ては手筈通りだ。攻勢計画に変更はない」

(第1章より)


  暴言には過去も未来も変化させることは不可能である。行く先を切り開くには、何よりも行動することが肝心なのだ。そんな山本の思慮に追従するかのように、加藤長官が太い声で命じた。
「合戦用意。左舷砲撃戦。即時待機」
 だが、一歩遅かった。相手の方が動きは機敏だった。彼らは先手を取られたのである。
「敵艦に主砲発射らしき火焔を確認! 敵弾は我が艦隊を指向している模様!」
 直後、山本五十六少佐は、加藤GF長官が何を主眼にしてこの作戦を遂行中であるかを思い知らされることとなった。日露戦争で武勲をたてたこの大将は、反射的にこう叫んだのであった。
「〈ルシタニア号〉を逃がせ!」
(第3章より)


 ……あれだ! あれこそが我らが狙うべき最終目標だ。連中はあれで英国に渡るつもりなのだ。だが、そうはさせぬ。キール、そしてウィーン。二都市で味わわされた屈辱を今こそ晴らしてくれる! ISDF欧州平和維持集団などという組織に属する日本人は、必ずやこのフランスの地で抹殺されねばならぬのだ。
 大将はほぞを固めるや、無線兵に命じ、第七機甲師団本部に連絡を入れた。目標の変更を指示したのである。それが全車に伝わったかどうかは定かでないが、海岸線に迫る特殊艇の側に水柱が林立し始めたことは確かだった。
 グデーリアンは傍らの88ミリ高射砲にも射撃を再開させた。もちろん狙いをつけたのは、日本人を救助にやって来た小型の船だった。
(第5章より) 

 

書下ろし架空戦記
 帝国の聖戦2
国際自衛隊1904〜41

2002年7月30日(火)発売予定。



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