予告編

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 人類の歴史は戦争の歴史。そう言い換えてもあながち間違いではあるまい。 

 二足歩行を始めた時より、ヒトは互いに慈しみあい、傷つけ合い、殺し合ってきた。これまでも、そしておそらくはこれからも……。 

  国家間においては永遠の友情を築くことは不可能であり、また永遠に憎しみ合うことも不可能である。これは、たまたま二大国が争乱の状態に陥った時代において、運命に抗い奔走し続けた人々の物語である。 


     1936年12月 米独軍需技術協定締結 
       37年  5月 米独安全保障条約締結 
       38年  9月 米独軍事同盟締結 

     そして―― 

     1941年12月  8日 日米開戦 
     1941年12月19日 米軍、英本土に上陸 

     翌年  8月        日英、米国の無条件降伏を受諾…… 

     それから……264年…… 


     「ああ、やっぱり俺はこの國に生まれて良かった……」 
 

     「これが……こんなのが戦争なのですか」 
     「これこそが、戦争なのだ」 
 

      中尉は力強く叫んだ。前部座席に座る砲術長は振り返って航海長を見た。若者の目つきはほんの数分前とは全く異なるものと化していた。緊張はしている が、恐れはない。そう、まさに求められる軍人の目だ。 
      自分のコンソールに視線を戻した砲術長は、A砲塔からのサインが青になっているのを確認して叫んだ。 
     「装填よし。直接照準よし。発射準備完了!」 
     「撃て!」 
 

     「まあ聞け。わしも軍人の端くれだ。本心でこんな化け物を使いたくはないさ。こいつはもう兵器なんかじゃない。誰でも簡単に動かせる殺戮マシンだ。現に実戦経験のないわしたち技術将校が動かそうとしているのだからな。こんなものを使ったら、それは戦争ですらなくなるだろう……。だがな、これは絶対に動
     かさなければならないのだ」 
     「どうしてですか! なぜですか!」 
     「それが命令だからさ」 
 

     「わかるな? わからないといわないでくれよ。他にわかる奴を捜さなくてはならなくなるからな」 
 

     「母上サマ。ソノゴツツガナキヤ。俺ハ今XX方面デ国ノタメニガンバッテイル。母モタッシャデイテクレロ」 


「全ての国、全ての臣民に対し、予は喜びと共に報告する。
 諸子はもはや闇夜を恐れることもなければ、貧困に喘ぐこともない。
 我らの憎むべき敵は、永遠にその姿を暗黒たる闇に葬られた。
 猿真似しか能のない黄色人種と、植民地支配という悪習をこの世に
 定着させた高雅不遜な者どもが居座る二つの島国は
 その隅々までもが、我が聖軍の正義の炎によって清められたのだ!
 本日、まさに、パクス・アメリカーナは完成をみたのである!」

 アメリカ国民の大歓声に狂王は手を挙げて応えた。
 これが三世紀にわたる動乱の時代の幕開けとは、誰一人思わなかった。 
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書下ろし大河架空戦記

 新世界大戦

第1巻「赤土の皇国」

2001年10月5日(金)発売予定。



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